Ryuichi Sakamoto: Playing the Piano 2022

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12月初旬に坂本龍一の「ラストライブ」と銘打った配信コンサートがあり、予約して拝聴しました。

私が大学生だったある年の大晦日だったと思います。彼がメンバーのイエローマジックオーケストラ(YMO)のテレビ放映を初めて観た時の衝撃を忘れません。大げさに言えば新しい音楽時代の幕開けという感じ?

権威の象徴である東京芸術大学を出た若い作曲家が、クラシックでも現代音楽でもなくテクノポップで世界制覇するとは!ジャンル超えというか反逆というか…とにかくYMOは斬新でかっこよかったんです。音楽も演出のセンスも。

そんな彼が数年前から癌に侵され、コンサートは体力的に難しくなってしまい、この夏8日間かけて1曲ずつ撮影し編集して、ライブコンサートを世界に向け配信を決行。

映像では痩せて声もかすれている感じがしましたが、ピアノの音は力強く、張りがありました。

全13曲の最後に弾いたのは『戦場のメリークリスマス(Merry Christmas, Mr. Lawrence)』。自ら日本兵役で出演したこと、あの美しいテーマ曲を生み出したことで、彼の代表作という位置づけなのでしょうか。クリスマスシーズンにちなんでのことでしょうか。世界平和へのメッセージなのかもしれません。

2023年1月には、病床日記のような作品(ほとんどは作曲した日付がタイトルになっている)を集めた12枚目のアルバムをリリース(→こちら)するそうで、先行配信のサービスがありました。その中に収められた古風な『サラバンド(20220302 – sarabande)』という曲は、美しくてさりげなく、すぐに弾いてみたくなりました。楽譜の出版が楽しみです。

坂本龍一さん、渾身の演奏をありがとうございました!「敬愛するバッハやドビュッシーのように最後の瞬間まで音楽を作れたら」という願いが、どうか叶いますように…。

ちなみに、2023年1月5日の22:00〜NHK総合テレビで今回の舞台裏を放送するそうです。

Ryuichi Sakamoto: Playing the Piano 2022 全曲解説はこちら

花