「老後とピアノ」

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音楽雑誌『ショパン』の人気連載『アフロのピアノレッスン〜やめてしまったピアノを大人になってもう1度〜』を1冊の書籍にまとめた『老後とピアノ』(著者:稲垣えみ子、発行:ポプラ社)(→こちら)が、最近静かなブームになっていることに驚いています。
このような地味なタイトルの本が売れるとは…!新聞広告で見て書店に行くと、まさかの在庫切れ。その後無事手に入り、面白くてあっという間に読み終わりました。

この本を手に取るのはシニア層かピアノ愛好家に限られるのかと思ったのですが、たくさんいらっしゃったんですね。かくいう私もド真ん中…。

元新聞記者の著者の自宅にはピアノがありませんが、ピアニストから定期的にレッスンを受け、カフェでアップライトピアノを借りて、毎日最低2時間、3年間ずっと練習を続けているそうで、その根性に頭が下がります。しかもすごく正直に練習の苦労やレッスンの内容や様子を書いています。さすが新聞記者魂!?「そうなの?」と驚くこと、「そうそう!」とうなずくこと、参考にさせてもらうことも多々。

「ゆっくり弾くこと」「脱力すること」「自分の中のノイズとたたかうこと」など、長い経験でわかるコツを、たった3年で発見してしまうあたりもすごいです。そして一番感動した箇所を引用させて頂きます。

『ピアノを弾くことで自分の中の思いもかけない美しいものと向き合うことができる。そして人の中にも同じように美しいものがあると信じることができる。それさえわかれば、人生十分ではないか…』

「思いもかけない美しいもの」って?

純粋さ?真摯さ?…皆さんは何だと思いますか?

がんばっても永遠にたどりつけない「最高の演奏」をめざしてピアノの沼にはまりこんだ一人として、この本を多くの皆さんに読んで頂き、もし眠っているピアノがあればもう一度奏でて欲しいと思いました。

今時無償でピアノを貸してくれる所があるなんて、世の中捨てたものではありませんね。駅ピアノのブームにも、世情の変化を感じます。