明けましておめでとうございます。
ゆっくりしたいお正月休みでしたが、「第6回 ピアノカルテットの愉しみ」の本番が1月末に迫っているので、空いている時間は練習に割かないとなりません。
曲目は新春にふさわしいモーツァルトのピアノカルテット第1番。単純な譜面なだけに、音に無駄がなくアラが目立ってしまいやすいので、練習内容は粒の揃った正確な打鍵と音色の追求が主になります。
モーツァルトの音楽は、出汁(だし)のきいたすまし汁、コンソメスープのイメージ?
一見薄味だけど、実はしっかりと下味がついていて旨みがある、そんな澄んだ音で弾ければと思っています。
味付けの濃い脂っこい料理やカレーは割と簡単に食欲をそそることができるけど、出汁で勝負するには料亭の料理人の腕が必要…などと、お正月にお雑煮を作りながら考えていました。
生徒さんには、料理で例えるならレシピを教えることはできるのですが、料理人の持っている研ぎ澄まされた感性は、自分自身が必要と感じた時に磨かれ、身につくものなので、なかなかそれを教えることはできません。
まずは音符や指使いを覚え、好きな曲が弾けるようになること、そこから先に音色のことがあって、どんな音を出したいのか、そしてどうすればその音色になるのかを繰り返し弾いて見つけていくこと…。
始めたばかりの生徒さんでも、自分の出す音に注意を向け、いい音を出したいという欲求を持つことはできるはずです。
例えばペダルを踏むことに興味を持つのは、その目覚めだと思います。
猫が歩いても音が出るピアノは、弦楽器や管楽器のように「音を創る」という意識を身につけるのはなかなか難しいですが、今年は「いい音を出したい」という思いで、自分の出す音に「耳をすます」ことから始めてみてはいかがでしょうか。
今年もどうぞよろしくお願いします。