読譜力について

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読譜力は必要?最近の悩みです。もちろん読めたほうがいいです。これは確かなこと。

では、絶対に読めないとダメですか?

他のお教室から移ってきた、習い始めて5年目の生徒さん。軽快なテンポで難しいと思う曲もよく弾いてくるので、しっかりと練習してくることに感心しています。が、実は読譜が大の苦手。

弾き始めの音を耳で探し、手の形で覚えているようです。

「それダメ!楽譜をちゃんと見て!5本の線をこうやって数えるんでしょ?線・間・線・間…」と私は目を三角にして絶叫⁈

ところが、ある時お母様が連絡ノートで『自宅で譜読みを嫌がり、それにこだわるとピアノが嫌いになってしまいそうなので、私が弾いて聴かせてしまっています。』と教えて下さいました。ありがたい親心に感謝するとともに、大切なことに気づかされました。

ピアノ講師の大切な仕事は、「楽譜を読める子を育てること」ではなく「ピアノを楽しめる子を育てること」。

最近のキーボードは、次に弾く音を鍵盤を光らせて合図してくれたり、YouTubeにも、音の雨だれ(?)が上から落ちてきて、打鍵のタイミングを教えてくれる動画がたくさん見つかります。このような次世代の演奏法が広まっている今、従来の読譜力が必ずしも必要でない時代が近づいてきているのかも知れませんね。

小5から始めた別の生徒さんは、「楽譜は読めなくてかまわない」とキッパリ。私に聞きながら音符にドレミを振り、左右の手のタイミングがわかるように、時には自分でカタカナ譜に作りなおして練習します。左手は大切な音以外省略。お気に入りの歌をとつとつと両手で弾けて嬉しそうです。

ピアノは、まずスラスラと弾けること自体が楽しいはずで、楽譜は「その先に行きたい」「もっと知りたい」と思った時に必要だとわかります。今から何百年も前に外国で作られた曲を私たちが再現できるのは、楽譜が残されていたおかげですもんね。

「弾けた弾けた!」から先に無限の世界が広がっていることを何とか伝えたい!

その第一歩は、お母様が弾いて聴かせてあげても、音符にカタカナを振っても大丈夫。

『その先までいっしょに連れていきたい』という私の思いが伝わりますように。