動画でつなぐ狂想曲

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コロナ禍から数えて、今年で6回目となる『動画でつなぐクリスマスコンサート』の撮影。

前回から、映像収録と音声録音を別々の機材で行い、音質の向上に取り組んできました。前回は同期がうまくいかず、今回はTASCAMのICレコーダーをマイクとして使用し、TASCAMとスマホをUSBケーブルで接続。スマホのボタンを押すと動画とマイクが連動する方法を教わり、トライアンドエラーを繰り返して、ようやく撮影本番を迎えました。

撮影本番に至るまでには、入念な準備が欠かせませんでした。
マイクの音量設定、高さや向き、スマホの位置、リモコンシャッター、ピント合わせ、倍率の変更……。

生徒さんは身長も声の大きさも、ピアノの音量も一人ひとり違います。何でもオートに慣れていて、機械音痴の私は、普通の人の何倍も苦労しました。

当日は、これらを一つひとつ確認しながら、生徒さんには笑顔(ひきつっていたかもしれません)で接し、まずはご挨拶の練習から。その後、リハーサル、本番へ。人によっては、時間とバッテリーの許す限り、何テイクも撮り直しました。

プレゼントは、お菓子と、ピアノの楽譜をしっかり開いて留められる優れもののクリップ。

さて、皆さんの出来は……?

4才は4才なりに、受験生は受験生として、クラシックを弾く子、ジャズの好きな子、J-pop、K-pop、発車メロディ、合唱伴奏、二台ピアノと、それぞれの希望を叶え、見事にミッションをクリアしてくれたと思います。

留学先のマンチェスター大学のレッスン室で、ソナタ《ワルトシュタイン》第1楽章を撮影し、送ってくれたM君。締め切りに間に合わずハラハラしましたが、部屋の窓から見える景色の写真が功を奏し、編集スタッフの神技によって、まるでNHK「名曲アルバム」のような仕上がりになりました。
終わりよければすべて良し。完成した動画を見た瞬間、ここまでの苦労が一気に吹き飛びました。

誰でもノーミスで弾ききることは難しいものです。でも、目標はノーミスではありません。
どれだけの熱量で取り組んだか、その結果が演奏に表れているか。そこにこそ、聴く人の心を掴む力があるのだと思います。


年々撮影の大変さが骨身にしみてきました。
そろそろ潮時でしょうか……? 次なる一手は?

撮影に関わってくださったすべての皆さま、本当にお疲れさまでした。

それでは皆さま、どうぞ良いお年をお迎えください。