不定期開催ながら9回目となった、ヴァイオリン・チェロ・ピアノによるアンサンブル「トリオの愉しみ」。最近は狛江の「エプタザール」から玉川学園前の「ミューズアミューズ」に会場を移し、勉強会の形で続いています。地元を離れ、少し気楽な立場になりました。
幹事はひと回り以上若いメンバーで、車の送迎からピデオ撮影まで引き受けてくれて、とても心強い存在です。
今回ピアノの参加メンバーは8名。来年にベートーヴェンの没後200年を控え、彼のピアノ三重奏曲が過半数を占めました。私はピアソラの「ブエノスアイレスの冬」を選曲。というのも、この曲はどうしても冬に弾きたい、来冬まで待てない!と心に決めていたからです。
プログラムはハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンと年代順に並んで、あろうことか私がトリに。えっ?そんな…(汗)
熱演が続く中、ピアソラの音楽は他とは全く違う世界を醸し出してくれました。その空気に大いに助けられ、自分自身ものびのびと弾くことができました。本番でこんな感覚を味わったのは初めてかもしれません。
今回あらためてピアソラについて調べてみました。アストル・ピアソラはアルゼンチン生まれのイタリア移民3世。4歳の時一家でニューヨークに渡り、そこでバンドネオンとタンゴに出会います。貧しい中でも父親が彼にバンドネオンを買い与えて、先生に付けてくれたそうです。
15歳でアルゼンチンに戻り、一流のタンゴバンドで活躍しました。しかし、タンゴに限界を感じ、30歳を過ぎてからクラシック音楽を学ぶためパリに留学します。
そこで師事したのが、ナディア・ブーランジェ。この女性が大変素晴らしく、「あなたの進むべき道はタンゴ」と諭されたピアソラは、祖国に戻ってタンゴの革命に取り組むことになるのです。こうして生まれたのがリベルタンゴ=自由なタンゴでした。
ブーランジェはフランス人ですが、多くの外国人学生を育てました。ピアニストで指揮者のダニエル・バレンボイム、作曲家・指揮者のレナード・バーンスタイン、さらにはジャズピアニストのキース・ジャレットまでも教えていたといいます。
西洋音楽の専門教育を行いながらも、新しい音楽を模索する生徒達が、自らの才能を最大限発揮できるように導いた、素晴らしい教育者だったのではないでしょうか。音楽がジャンルを超えた自由なものであることを教えてくれた、当時珍しい女性だったと思います。
私も、「これだ」と感じた音楽に飛び込もうとする生徒さんの背中を、そっと押す指導者でありたい。そう強く思いました。


